34 文字看板めぐり(13)佃島「天安」
「このコラムで紹介したいと思っていた佃島の大看板なんだが」
「もんじゃ焼きのですか?」
「それは月島。佃島とは区別してほしいな。佃といえば佃煮さ」
「江戸時代からあるそうですね。昔は東京湾もきれいだったんだ」
「その佃煮の『天安』のしぶい大看板が、このあいだ見たらマッサラになってしまった。ほらね。(写真上)名物がひとつ消えちゃったわけだ。」
「なんでまた」
「店の人に聞いたら、古くなったので今年の1月に掛け替えたそうだ。傷みがはげしく、台風などで落ちたりしたら大変なことになる。風雨にさらされているからね。今までのものはサラシに巻いて倉庫に保管しています、と言っていた。看板も寿命がくれば代替わりもやむを得ないんだね」
「看板にオカワリあり、か」(笑)
「もう見られないのが残念だけど、数年前に私が撮った写真があるので、かつての雄姿をごらんにいれよう。
隷書で『元祖佃煮』。楷書で『天安』とあって落款印がふたつ。下は金文らしいが判読不能。上の白文は『昌創閲印』のように読める。なにしろ屋根の上だから見極められない。ちゃんと落款があるところを見ると看板屋の字ではないようだ。しかし名前が日本人らしくない。中国人だとすると、佃煮との関わりに興味がわく。店の人も誰が書いたかわからないので、どなたかゆかりある人は教えてくだされ」
掲載日時 2008 年 10 月 15 日 - PM 05 : 31
