506 コロナ渦中 教室の活動(1)書刻作「遠臨・・」
三月のコロナ騒動でこのコラムを休んで、もう九月のお彼岸です。半年も経ってしまいました。至る所コロナウイルスの情報、対策、医療、論評の記事だらけで、どれが正しいのか私のような庶民にはわかりません。時節がらコロナ以外の話題は影が薄く、書道コラムの筆が止まっていました。 気を取り直して、私のような零細書道塾がこの期間にどんな活動をしていたのか、お弟子さんたちの勉強ぶりを書きとめておこうと思います。
Y嬢は昨年の十月から徐三庚の「出師表(篆書)」を臨書していました。教室を閉鎖した三月の時点では、これをもとに次の書刻作の構想も固まっていました。板表面を総浚いして石垣模様を施し、そこに文字彫り込みをするというイメージです。朴の板を購入し、板のサイズに合わせて十字、文案は徐三庚の字で「遠ク臨ム南州ノ路 行人深緑ニ龢(わ)ス」とし、清書も仕上げ、籠字を取ってその草稿を板に張り込む寸前まで進んでいたのに、三か月もストップしてしまったのです。
コロナ騒動で教室を再開したのが六月。さっそく板表面の模様彫りにとりかかりました。彫りは六月いっぱい四回ほど。下塗り(赤)、赤黄色の着彩、研ぎ出し。工程ごとに乾燥させるので、七月中は塗りばかリです。以上が板表面の「こしらえ」で、前哨戦といったところ。
八月に入って文字稿を張り込み、いよいよ文字を彫り込みます。
文字部は平彫りです。十字もあるのでけっこう時間もかかります。週に一度、少しずつ彫り進め、八月末、文字に白い色を入れました。上のスナップ(8/29)
写真の上部で板表面のこしらえ(石垣模様)が、下部で文字稿の張り込みの具合が分かるでしょう。
掲載日時 2020 年 09 月 28 日 - 午後 05 : 49
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