29 文字看板めぐり(8)銀座たちばな≪栗田嵐嶽≫ - 書道コラム

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29 文字看板めぐり(8)銀座たちばな≪栗田嵐嶽≫

 私はサッカリンとかズルチンを舐めた世代でnullして、戦後の甘いものがない頃に育ちました。

 わが家の少し古びた黒い缶に、ひらがなで「かりんとう」とあって、子供心に「何だろう?」と思ったものでした。大人に尋ねてもお菓子だというだけで要領を得ません。今にして思うと、砂糖の味を知らない子供にどう説明できましょう。ですから、もの心ついて「かりんとう」をはじめて食べたときにはちょっと拍子抜けしました。私の頭の中はあの五つのひらがなで、イメージがふくらみきっていたからです。null

 その印象深いひらがなが銀座「たちばな」のかりんとうの缶だった、と後で知ったのですが、あらためて見直すとなかなか素敵な缶で、字もおしゃれです。「りん」を連綿にせずズラせているところが粋ですし、「う」の傾き具合も上手です。静かな字で何よりも気品があります。(写真上)

 書いたのは栗田嵐嶽(1919~1984)。足利の日本画家。「たちばな」の屋号もこの人の書です。(写真下)
「生涯一作も公表しなかった孤高の作家」だそうで、どうりで仮名書家の名を考えていた私に心当たりがないはずです。嵐嶽の兄・英男氏は伊万里・鍋島の世界的なコレクターで、足利の「栗田美術館」の本館に展示されています。三万坪の広大な敷地の中に「嵐嶽記念館」もあります。(足利市駒場町1542 ℡ 0284-91-1026)

 かりんとうは太いのと細いのと二種類。銀座ならではの味。お求めの際は赤と黒の缶ごと、書の鑑賞をお忘れなく。

■たちばな 中央区銀座8-7-19 03-3571-5661


掲載日時 2008 年 09 月 11 日 - PM 02 : 35

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