40 木の文化(17)恩人たち
「木の文化」というテーマで私と木との関わりを書いてきました。広い意味では紙も木とつながっていますから、私と紙との関わりもまだまだあるわけで、それらはまた別に書く機会もあるでしょう。そろそろ一区切りつけるために、ここでは私の作品に快く身を預けてくれた板さん(?)たちをざっと思い出してみます。
ヒノキ、スギ、ケヤキの三つは書刻の三大スターです。硬軟それぞれで、どれも板としての長所を備えています。私の父は特にスギが好きで、作品の数でもスギが一番なようです。
カツラ、ホウは初心者が最初に彫る板ですが、サカメも少なく、板を彫る楽しさを教えてくれる最良の先生です。のっけからトチだのクワだのを与えたら、それは板にも気の毒というものです。
エンジュ、オニグルミ、サワグルミ、カヤなどは切れ味がよく、気持ちよく彫れます。クルミの実は硬いけれど、板はそうではありません。刃物を研ぐ練習にもってこいの先生です。研ぎ味がすぐ手ごたえとして分かるからです。
軟らかい板の難物はキリです。特に白い肌のキリは汗や手のあぶらがつかないように、よく手を洗って取り組みます。最近では東南アジアのキリまがいのファルカタという板が棚板として売られています。表面を焼き入れ仕上げしており、安いのでお勧めです。
変った板ではクワ、メイプル、タモ、キハダ、シオジ、ネズコなど耳慣れない板もあります。貴重な板としてはヤクスギ、イチイ、クロガキ。木型に使われるヒメコマツはなかなか目にする機会がありません。また忘れてならないのは、サクラ、ナシ、カキ、クリなどの果物の木。そのほかツガ、カシ、モミ、セン、クス、イチョウ、ヤナギ、そして私の好きなマツもあります。今、私が手がけているのはポプラです。
書刻の材はこのように様々です。スペースが少なくなってきました。まだまだ面白い板があり、どれも間違いなく私の恩人であり師匠です。
掲載日時 2009 年 06 月 12 日 - PM 04 : 17
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