38 木の文化(15)漆も日本の誇る木の文化 - 書道コラム

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38 木の文化(15)漆も日本の誇る木の文化

 漆は中国の発明で、その技術は早くも前漢のころから朝鮮半島に伝えられ、日本にもたらされたようです。平壌市郊外の楽浪郡遺跡から発掘された漆器は、2000年前の色つやを失わず、その塗装の堅牢さをありありと見せた、と松田権六が言っています。

 幸いなことに、日本は良質な漆の木に恵まれていたようです。漆を扱うには特別の、かなり高度な技術が要求されますが、日本の技術者たちは研究を重ねて自家薬籠中のものにし、今日の漆の文化を作り上げました。この塗りが余りにも優れた品質、美しい光沢を持っていたために、塗りの世界の主役となりました。

 板染めはこれほど堅牢な皮膜を作れません。舶来品である蘇芳を手に入れるよりも、良い漆の木が日本全国にありました。いつしか板染めは斜陽になり、漆に取って代わられたのであろうと思われます。

 漆は接着剤としても優れていることが古くから知られています。私の家では箔押しに漆を使っていました。祖母の自作の箔箸(箔をつかむ竹のピンセット)が残っています。自分の手にあわせた小ぶりのもので、懐に入れたバレンを自分の肌で暖めながら箔をアカし(箔紙にバレンで油を引き、箔を紙に吸着させること)、箔押しをしたようです。漆かぶれで胸が真っ赤になったと語っていました。

 父は免疫ができていたようで、漆に触れても一向平気でした。そんな家に育ったので、私も漆には何の警戒心もなく、触れても何事もありませんでした。ところが10年ほど前、シャツ一枚の姿で漆を塗って、一週間後に手や腕が腫れ上がり、それでも漆のせいとは思わず、アセモくらいに思っていたのですが、皮膚科に行くと、その女医さんが「みんなおいで。これが典型的な漆かぶれだよ。よく見ておき」と若い看護婦さんたちに取り囲まれる身となったのでした。

掲載日時 2009 年 05 月 24 日 - PM 01 : 55

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