420 春の知らせ - 書道コラム

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420 春の知らせ

  





  たまには植物の話題もいいかなと。
 自分がボケてきたからか、木瓜に親近感を抱くようになりました。木瓜は「モッコウ、ボッコウ」と読み、それがなまって「ボケ」になったので、この親近感は木瓜にとってはお角違いで迷惑でしょう。春はレンギョウのような黄色い花がまず開き、次に木瓜が花をつけます。毎年たくさん咲いて忘れることなく、また翌年もさらに枝を増やして花を増やし実も鈴生りです。このエネルギーは大したものです。これまではただの赤い花だとあなどって、あまり賞翫したことがなかったのですが、木瓜の律義さとお手軽さは見習うべきではないでしょうか。「寒い寒いと言っていても、植物はちゃんと春になれば花をつける。すごいですね。」とお弟子さんが言っていました。そうです、人間は植物を見習わねばなりません。植物を偉人にダブらせて生き方を教える思想はほとんどないようです。大乗仏教の『菩提道燈』に「樹のように生きよ」と述べているところを発見した時は少し驚きました。仏教でもあまりこの発想はなく、それ故に意外に思ったのです。『荘子』には「駄目な樹は偉い」とする箇所があります。有益な樹は人間に伐られて利用されてしまう。役立たない樹は、だから天寿を全うする」というわけです。ちょっと視点がズレますね。杉や檜もカタナシです。
 右の写真は「一人静」です。早春に咲きます。今年は少し遅く(?)この写真は3月28日です。白い花は花弁ではなく長く伸びた雄しべ。なぜこれが源義経の側室・静御前なのか、いわくがあるらしいが、それはどうでもよろしい。花の咲くころは丈も短く小さいので、枯れ落葉の影に隠れて見落としそうになります。品のあるたたずまいです。我が家の庭はこのあと、二輪草、一輪草と春の野草が続くので楽しみです。
 八丁堀の桜川公園は今日が桜の満開です。日本中至るところで桜が咲き乱れ、気象庁は開花宣言までする始末。桜は「バカみたい。お前さんは本来の仕事をしろよ」と言っています。桜の下で酒盛りをするのが慣習というこの国は、紛争に明け暮れている国からすれば明らかに「平和ボケ」でしょう。
 

掲載日時 2018 年 03 月 29 日 - 午後 04 : 52

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