29 木の文化(6)クスノキ 害虫じゃあるまいに
クスノキに彫った時のことです。青梅の材木屋さんに雨ざらしになってかなり枯れているクスノキを見つけました。厚みがあったので、製材所に運んで二つにスライスしてもらいました。タテならノコギリで切れますが、スライスは素人の手には負えません。
ビューンと丸ノコがまわり、後方にいた私にオガクズがふりそそいだ途端、強烈なクスの香りがあたり一面に満ち、私はビックリ仰天しました。伐られて10年以上経つというのに、香りは全く健在なのです。そうか。クス(楠あるいは樟)は防虫剤ショウノウ(樟脳)の原料だった!
二枚になった板を持ち帰って部屋に置くと、家中がタンスの中よろしく、こっちが害虫になって逃げ出したくなるような香りです。これではとても同居できないから、別の仕事場に運んで、そこで彫ることにしました。
2,3日たてば香りはかなり薄れます。字入れして私は上機嫌でノミを打ち込みました。と、たちのぼるクスの香り。「書いて楽し、彫って楽し」だな、と私は悦に入っていました。ところが、仕事をはじめて2,3時間もすると、気分が悪くなってきたのです。なにしろ鼻先にあらたな匂いを発生させているわけで、さしもの私の頭もクスの香りの直撃でラリってしまったという次第です。クスの大木に仏像を彫った方々はどれほど大変だったか、身にしみてわかったことでした。
この作品は「作品紹介」の番号大00033にありますので、ぜひそちらに立ち寄ってください。(スクロールして後のほうに出ます)。総浚いと記してありますが、私にとっては吐き気をこらえた浚いのあとなのであります。
掲載日時 2009 年 03 月 08 日 - PM 05 : 31
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