26 木の文化(3)首かけイチョウ - 書道コラム

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26 木の文化(3)首かけイチョウ

null 私はよく日比谷公園を歩きますが、園内のレストラン「松本楼」のわきに「首かけ銀杏」と呼ばれる大木があります。
 道路拡張の際に、伐り倒されることになっていた銀杏の大木を、公園設計者の本多静六博士が「首にかけても移植させる」と言って、みごと成功させたものです。明治も末のころの話です。このときすでに上の方は伐られていたために今も樹高は20メートルと低いのですが、幹まわりは6.5メートルという偉容を見せています。秋には黄、黄、黄の大カーニバルです。

 近年になって森林伐採が文明の衰退の引き金になった、とさまざまな分野で言われています。漁業でさえも、山の木を守れば、その栄養が川に流れ、近海のプランクトンを増やし、魚が集まるのだそうです。たかが道路の拡張のために木をおろそかにしては自滅だぞ、という明治の賢人の声を忘れてはならないでしょう。

 木の文化を見渡すと、街路樹、並木、庭木、盆栽など、それぞれが人間にやすらぎを与えてくれ、人がそれを大切に養い続けてきた営みを知ることができます。また材木、板の文化ともなれば、前回にも書きましたが、木彫作品の数々、とりわけ日本には仏像彫刻の名品がめじろ押しです。考えてみれば、日本は世界に冠たる木の文化を開花させた国であり、今も多くを残している稀な国でもあることに驚きます。

 縮こまり思考の咋今で、新たな事業など、とてもとても、という不景気さですが、こういう時こそ足元をじっくりと見つめ、これから何をなすべきかをよく考えるチャンスではないでしょうか。林業の衰退をのんびり眺めている暇はありません。林業の活性化こそ日本の特性をいかす近道なのです。



掲載日時 2009 年 03 月 01 日 - PM 04 : 53

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