63 今はただ

63 今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを
人づてならで いふよしもがな (左京大夫 藤原道雅)
【現代語訳】
今はただただひたすらに、あなたへの思いを断ち切ろうとだけしていると、人伝えではなく言うてだてがほしい。あなたに直に。
【文字表記の注】
禁じられた恋の哀歌。初句を低くとって「思ひ」を強めます。初句だからといって上から書かねばならぬというきまりはありません。
「とばかりを」は語調による区切りで、意味の区切りは「なむ、と/ ばかりを」となるはずです。段落ちはこういう場合有効です。
作者は「さきやうのだいぶ ふぢはらのみちまさ」。恋の相手は三條院の第一皇女・当子(とうし)内親王。伊勢の斎宮という「男性絶対禁制」の世界の人だけに院の逆鱗にふれたのですね。おかわいそうに。
掲載日時 2009 年 08 月 02 日 - PM 04 : 22
