ここでひとやすみ(6) - 手本・百人一首

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ここでひとやすみ(6)

null漢字との調和

 かな文字は漢字から作られたので漢字とはよく調和します、と述べましたが、これはそう簡単なことではないのです。
 「かなに合う漢字」が必要なのです。そして中国伝来の漢字はさまざまな面で「かな書」とは異なるのです。

 まず、筆が違います。中国の筆は漢字を書くように作られており、毛の反発力が強いのです。腰が強い、という言い方をしますが、かなのくねくねと続く線を書くには腰が柔らかくなければなりません。平安時代の筆師たちは筆の改良に取り組んだのです。

 次に紙です。中国の紙は薄手ですが、墨をしっかりとかかえこむ吸収力があります。しかしかなの線は長々と続き、何度も墨つぎをしていては埒があきません。そこで「和紙」が開発されました。紙の表面を薄くコーティングして(これをどうさ引きといいます)、吸収を抑えたのです。

 そして筆法です。中国の漢字の筆法は、紙との抵抗(摩擦)を高めるように筆を押し進めます。反対に,かな書は筆を引きずるようにして、紙との抵抗を少なくするように筆を運びます。全く逆の筆づかいなのです。

 このために平安貴族たちは「かなの筆法」で漢字を全面的に書き直す必要がありました。大変ラッキーなことに小野道風のような天才がそれをほぼ完璧にやりとげてくれたので、漢字とはいえかな書に適応した、いわゆる「和様」が確立したのです。こうした国風文化の後押しをうけて、かなは漢字としっくり調和するようになりました。遣唐使の廃止によって中国製品の輸入が途絶え、和筆、和紙の開発が促されたという側面もありますが、今でも紙や筆は「漢字用」「かな用」と分けて売られています。

掲載日時 2009 年 07 月 31 日 - 午後 01 : 32

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