29 心あてに

29 心あてに 折らばや折らむ はつしもの
おきまどはせる しらぎくの花 (凡河内躬恒)
【現代語訳】
心のおもむくままに、手折るのなら手折ってしまおうか。初霜のおりた白菊の花だから、花も霜も見分けがつかなくて、迷ってしまう。どちらも美しいのだから迷ったままでいようか。
【文字表記の注】
「初霜」は「はつじも」と濁りません。「折る」は「をる」。
「しらぎく」は四字の連綿です。
「折る」のはこの時代のならいとして、恋人に和歌を添えて送るためでしょう。しかし初霜も捨てがたい。いっそのことプレゼントは後回しにして、迷う自分の心をしばし楽しみたい、という心が主題だと思います。「おきまどはせる」「しらぎく」のひらがな表記には、右に左に目移りする心のゆらぎを表現できるのです。
作者は「おほしかふちのみつね」。
掲載日時 2009 年 07 月 10 日 - 午後 09 : 55
