21 いまこむと

21 いま来むと いひしばかりに 長月の
有明の月を 待ちいでつるかな (素性法師)
【現代語訳】
いますぐに行こうと、あなたがおっしゃったばかりに、秋の夜長を待ちつづけて、とうとう長月の明け方の月の出を待ってしまいましたわよ。つれないあなたではなく。
【文字表記の注】
「来む」の「む」は「ん」と読むので「ん」と表記することもできます。「いふらむ」「とどめむ」なども同じです。「ん」にするなら統一して使うべきです。ここでは「む」で統一しています。
英語では go と come がしばしば逆に使われます。行くほうの立場で言うか、来られるほうの立場で言うかの違いがあるのです。ここは「いま来む」と女がうけとめたので、男は「いま行かむ」と言ったのでしょう。
長月と有明の月とあって「月」がダブります。書き手の側からいうとなるたけ字をダブらせたくないので、どちらかを「つき」とします。和歌ではあまり見られません。短い詩句なので冗長にならないように作歌するからです。
「有明」の「明」は草書体で書いています。「月」の部分はこのように略します。有名な形なのでこの際覚えておきましょう。
作者は「そせい ほふし」。
掲載日時 2009 年 07 月 10 日 - 午後 02 : 51
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